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  • 執筆者の写真tserita

サーチファンド特集講義

2022年6月18日 

早稲田大学大学院経営管理研究科

アントレプレヌールシップ(夏学期)


2022年6月に、株式会社Japan Search Fund Accelerator (JaSFA)の嶋津社長をお招きし、「サーチファンド」に関する講義を実施しました。


経営者を目指す個人が主導して中小企業のM&Aを行い、自ら経営に携わる活動であるサーチファンドの説明を実施。今後日本における拡がりを、パネルディスカッションを交えて討議しました。

その当日の様子を紹介させて頂きます。



◆目次

1 長谷川教授イントロ(サーチファンドとは)

2 サーチファンドの概要(前川さん)

3 投資家の実態(嶋津さん、妹尾さん、司会:長谷川教授)

4 サーチャーの実態(前川さん、サーチャー:松本さん、岡部さん 司会:長谷川教授)

5 教室からのQ&A

(本文、敬称略)


サーチファンドとは(長谷川教授)


長谷川

本日のアジェンダは、イントロでサーチファンドについて私から少しガイダンスをさせていただきまして、その後、サーチファンドを概要、米国欧州の状況について、前川さんからご紹介させていただきたいと思います。その後、投資家の実態について、嶋津さんと野村グループご担当者と私と対談したいと思います。その後に、休憩を取った後、サーチファンドのサーチャーの実態を前川さんとサーチャーの方で対談をして、最後に、Q&Aをしっかりやりたいと思います。皆さんは聞きながら、質問の準備をしておいていただければと思います。


最初に、私からサーチファンドの概要についてお話をしたいと思います。

サーチファンドの起源は、1984年にスタンフォードビジネススクールのH.Irving Grousbeckが若き経営者候補に早い段階で経営経験を積ませるために、この仕組みを作りました。つまり、ビジネススクールの先生がスクール卒業生の活躍の場をもっと広げたいために作りました、それがサーチファンドの起源です。

それから40年、全世界で500件の応募案件が出て、サーチファンドはトレンドになっていると思います。


日本の課題として、中小企業の経営者は、後継者難に陥っています。このグラフにあるように、自分の会社の後継者が決まっていないと言う会社が多くありますし、かつ、高齢化するので、廃業、休業、解散がとても増えています。さらに廃業、解散をしている会社の62%は黒字です。赤字でどうしようもないから会社を辞めるじゃなくて、黒字だけど、何らかの理由があって、会社を終えるという会社が十分たくさんあるという現状です。

後継者がいる場合には、当然、贈与税対策になるし、場合によってはマネジメントバイアウトもあるかもしれません。後継者が継がないとか、継ぎたくないと言った場合でも、次の社長さんを内部の取締役などから社長を選び事業承継することは、これまでも行われています。

でも、後継者がいない、或いは自分で見つけられないと言った時には、会社を存続させないので6番の選択がさっき言ったように会社廃業です。もう黒字だろうが赤字だろうが、後継者がいないので会社を辞めると言うのが6番でございます。その間に、4番と5番があります。5番と言うのは、株は承継させない、例えば、自分の息子や奥さんや創業者が死んだ場合に、株式は奥様やご家族が承継はされますが、経営を自分で引き継ぐわけにいかないので、外部から社長を引っ張ってきてっていうのが5番、それの中間の選択肢として4番のM&Aいう形のやり方があります。



サーチファンド研究の意義という意味では、先ほど言いましたように社会的課題としては中小企業が安定的に利益を出しながらも、後継者不足で廃業するっていうことを少しでも減らそう。また、大企業の年功序列とか成長鈍化いうことに対して、若くてチャレンジングしたいけど、大企業にいるので、なかなか経営責任を持てない。持てるようになるまで20年や30年かかる。例えば、皆さんがMBAを取って、MBAで勉強したことをすぐ実践にしたいと思っても、なかなか学んだことを使いこなす機会が少ないと言う意味で、明らかな機会ロスになっている。一方で、先行事例として、北米やヨーロッパにおいて、ポスト MBAのキャリアとしてサーチファンドが台頭しております。

ゼロから会社を作るよりは、サーチファンドのリスクが低い。既存に経営されてきた中小企業を引き継いで、イノベーションを起こすので、そういった意味でゼロから会社を起こすよりは、リスクは低いかもしれない。お金についても、ゼロから外部から資金調達をして、ゼロからビジネスモデルを作るという創業者に比べると、ハードルが低いかもしれません。現状においてサーチファンドは日本においてまだ黎明期で、まだ先行事例が極めて少ない。今サーチファンドを少なくとも研究する価値があるだろうということを我々は思っております。


プライベートエクイティ(PE)ということについても少しご紹介したいと思います。これまでは会社を作ったばっかりのベンチャー企業が拡大成長する時代に入ると、やはりベンチャーキャピタルから資金を提供することが多いです。私が創業期にベンチャーキャピタルを作った頃には、まだ日本では本当にベンチャーが少なかったですが、今ようやく独立系のベンチャーキャピタルや本格的なハンズオン型のベンチャーキャピタルがどんどん増えてきております。このフェーズにおいてはまだまだ海外と比べると、資金量は少ないですが、良い案件があれば資金調達ができるという状況にあります。ベンチャーキャピタル投資はPEの一環ですが、特別に抜き出して語ることが多い。それは違うという意味でヘッジファンドやアクティビストファンドなどは、ちょっと勢いがなくなってきて、右肩下がりになってくる企業むけに投資しています。


PEファンドと言うのは、非上場化して敏速に意思決定して、3年~5年でバリューアップしてイグジットする。短期間で大きな利益を生みつつ日本の業界再編に役立つ、例えば右にある大江戸温泉、すかいらーく、東芝などが有名です。PEファンド特にベインキャピタルなどは、上場している企業を未公開にして経営改革を行い、もう1回上場する、或いは大企業に売却すると言うような形で大きな価値を目指しているファンドです。


サーチファンドは、今言った通常のPEファンドと違いまして、ちょっと特殊なやり方をとっています。通常PEファンドと言うのは、10人以上のメンバーで、例えば技術チーム、バリューアップをするチーム、ファイナンスで資金調達をするチームとか、どのPEファンドでも10人以上の組織で運営しています。一方、サーチファンドは1~2人ぐらいのメンバーでやっている。投資案件もPEファンドというのは、上場している会社を1回非公開にするので、最低でも一案件数十億円或いは数百億円の買収金額になるのが多いです。それに対して、サーチファンドは一件当たり数億円で買うことが多い。資金調達時に買収費用も含めて調達するということに対して、サーチファンドはまず案件を探すための費用でまずファンドを作って、案件が見つかったら買収資金を追加で調達することが多いです。

買収相手を探す際にも、この会社だったら私は経営ができる領域であると判断することが優先します。全く自分の不得意な業種の会社を皆さんがいくらMBAを卒業しているからといって経営できるわけではないです。なので、自分の得意な業種或いは得意な会社とマッチできるかどうかが大きなポイントになります。そういう意味で、「お見合い」をするわけです。お見合いをして双方が合意できれば、私に任せてください、私が退任した後は、あなたに経営をやってもらおう、というようなやり方になるわけです。

例えば、サントリーの新浪さんがサントリーの社長をされているわけですが、サントリーの専門経営者として雇われ、サントリーをマネージしている。サーチファンドの場合、株も買い取って経営者を担う、ある意味オーナーになるのがサーチファンドです。そして、サーチファンドの場合は、原則1社です。お見合いして、本当にうまくいったと思ったら、1社のために資金調達をして1社を買収して、1社の経営に乗り込んでいく、というのがサーチファンドです。これに関して通常のPEファンドは、1社だけだと怖いので、5件から10件ぐらいポートフォリオを組みます。ポートフォリオを組んで一つの銘柄がうまくいかなくても他の銘柄がうまくいけばいい、というのが通常のPEファンドになります。


ただし、後で前川さんからご説明があるかと思いますが、今のところ、このマイクロキャップであるサーチファンドの方が大きいバイアウトファンドよりも、投資利回りが良いです。でも、必ずマイクロキャンプだからパフォーマンスが上がらないわけではなくて、しっかりと自立して、しっかりお見合いができれば、ミスマッチが起こらなければ、ちゃんと成果は出るというのが実態です。日本の場合は、イグジットまで行っているのは本当にないですから実際にはこれからだと思います。

通常はサーチャーがサーチファンドを作ります。相手が見つかるまでの人件費、交通費、運営費分だけの出資をいただいて、運用のためのファンドを作ります。そのお金を持って相手先を探します。サーチャーは給料もらいながら、活動をします。

サーチファンドの場合には、①のところで、とりあえずファンドを作っていますので、当面生活するお金はもらいながら、ちゃんとその相手を見つけられます。相手と交渉して、うまくお見合いができてちゃんと案件が成立できたところで、②買収資金を調達します。そこから自分が社長になって企業運営し、自ら会社のバリューアップを進め、どこかのタイミングで上場でも非上場でも良いので資金を回収する、というのがサーチファンドの大きな流れです。

繰り返しになりますが、欧米でもMBA卒業して、大企業に戻っても社長とか取締役になるのはやっぱり10年や15年かかる。日本においては、皆さんがMBA卒業してから、今務めている会社で役員になられるのは相当に先のことだと思います。もう一つの選択肢がベンチャー企業の創業、すなわち会社を辞めてMBAを取った瞬間に自分が裸一貫会社を作るというのも、一つのストーリーです。その中間形態として、ベンチャー企業でもなく、大企業でもないこのサーチファンドというものに手を挙げることによって、ここである程度の経営の実績を積むのも選択肢です。サーチファンドで経営者をやったという経験をもとに、今度はサントリーの新浪さんのように、「経営に成功した経験があります」と言って大企業の経営者に名乗りを上げるというようなことに繋がるための“デビュー戦”という意味です。

そういった意味ではこのサーチファンドというのは、一つの社会的意義がある。日本ではまだで始まったばかりで黎明期にあるのが現状です。


サーチファンドの概要(前川さん)



前川

私は新卒で98年に大倉商事という会社に入りました。私に本当に見る目がなかったですが、なんと入社後4ヶ月で会社が破産してしまいました。

路頭に迷うことになりましたが、今振り返ると非常にいい経験をしたなと思います。

この経験から、何かあった時に会社は何もしてくれない、個人で強く生きていくしかないと覚悟が決まりました。

それから新卒でもなく、第2新卒の経験もなかったので苦労しましたが、外資系の商社を経由して、ミスミという会社に入りました。まだ売上は3,500億円程度なので知らない方も多いと思いますが、ユニークなビジネスモデルで、ビジネススクールでケースとして取り上げられる知る人ぞ知る企業です。2004年当時、長谷川先生も親交のある創業者の田口さんから、プロ経営者の三枝匡さんにバトンが渡されたばかりの時期でした。採用イベントで三枝さんの話を聞いて惹きつけられて入社しました。

通算15年いたのですが、そのうち12年は海外に駐在していました。また、一貫してファクトリーオートメーション(FA)事業に所属し、各地で事業責任者を担っていました。

ミスミの後、3年前に母方の祖父が96年前に立ち上げた叔父が社長を務める印刷会社に入社しました。そこが長年、赤字に苦しんでおり、自分のルーツでもある会社を何とかしたいという想いがありました。そこで副社長として再建を主導しました。



この祖業が音楽映像パッケージ、CDやDVDのジャケット印刷なので、皆さんご想像できると思うですが、配信に置き換わり、印刷の中でも市場縮小のスピードが速い、非常に厳しい市場です。280名ほど社員がおりますので、この雇用を維持しながら事業を転換していくのは難しく、先々のことを考え、ファミリーとしては苦渋の選択ですが、大企業の傘下に入りました。これは美談ではなく、創業家としては悔しい結果です。しかし、グループイン後1年を振り返ると、社員のためには良い選択をしたと自負しております。

私自身のキャリアとしては、やはり自律した環境で経営したいという想いがあるので、ちょうど一昨日、株主総会で役員を退任し、サーチャーになることを目指し、審査を受けているところです。

そもそもなぜサーチファンドに興味を持ったのか?ですが、私自身は偶然にも創業家の家系に生まれたので、企業経営の経験に恵まれました。手前味噌ですが、大企業経験者が中小企業に入ると、かなりインパクトが大きい変革が起こせることを体感しました。これをもっと広めたいという気持ちがありました。最初は20年10月の日経新聞のDBJの記事でサーチファンドの存在を知りました。21年5月には、ミスミ時代の元同僚の大屋貴史さんが、アクセラレーターのSFJさんの第一号サーチャーとして契約を結び、かなり親近感がわいて来ました。

そして、昨年2021年の7月初めに長谷川先生がこのアントレの事業でサーチファンドをテーマに授業をされた流れで、授業外でもうちょっと勉強したいなと思いまして、サーチファンド研究会を立ち上げました。

ここにもメンバーが沢山いらっしゃると思うのですが、今Facebookグループで170名ほど会員になって頂いています。幹部を集めたところ、同期の中でも優秀なメンバーが集まってくれて、どんどん話が進んだという形です。顧問は長谷川先生と、池上先生にお願いをしました。



サーチファンド研究会のミッション・ビジョン・バリューですが、ミッションはサーチファンドを世の中に広めて日本を元気にしたいということです。ビジョンは、少なくともWBSにおいてはサーチファンドの認知率100%を早期に実現したいということです。

昨年は、2ヶ月に1度のペースでイベントを開催しました。色んな種類のサーチファンドがありそうだったので、それぞれ勉強させて頂きました。まず、山口キャピタルさんに登壇していただき、それからアクセラレーターのサーチファンドジャパンの伊藤さんとサーチャーの大屋さんです。3月には日本で初めてトラディショナル型で活動をされたサーチャーの黒澤さんにも登壇していただきました。

 それから、サーチファンドのプロセスにフォーカスをあて、実際に大企業の出身者が中小企業経営に入るとどうなるか、ちょうど私の代の長谷川ゼミのゼミ長の内山さんが婿養子で、奥さんの実家の味噌醤油の醸造メーカーを継いだというタイミングでしたので、3ヶ月経過したところで、生々しい苦労話や経営にかける想いを話してもらいました。その他、中小企業のM&Aについて、ファイナンス専修の方に解説していただきました。

サーチファンド研究会の説明は以上になりますが、ご興味あればFacebookグループに参加して頂ければと思います。


これから、先行する欧米のサーチファンドの、統計データを皆さんに共有していきたいと思います。

最初にサーチファンドの類型として、メジャーなのがトラディショナル型というものなのですが、自らが投資家15名ぐらいと交渉して、資金調達をするモデルです。セルフファンデッド型は、企業探索時の活動費はサーチャー自ら賄い、買収時にはじめて投資家から資金調達するモデルです。スポンサード型は、特定の1社がスポンサーにつくモデルです。そして、アクセラレーター型は、トラディショナル型の進化系で、15人もの投資家から資金調達するのは大変なので、1社が窓口になり、サーチャーと投資家を繋げ、ハンズオンで経営支援も行うモデルです。左下にあるのが、各モデルの自律性の高さやリワードの大きさなどを比較したチャートです。トラディショナル型と、セルフファンデッド型はサーチャー自らの活動の負荷が大きいですが、その分リワードや自律性が保たれるモデルです。一方で、スポンサードやアクセラレーターモデルは、特定の企業が活動をサポートしてくれますが、サーチャーの負荷が軽減される分、リワードや経営及び出口戦略における自律性が若干抑制される傾向があります。

ここからは、サーチファンドに関する様々な統計データを皆さんに説明していきたいと思います。

大体2年に一度、アップデートされますが、スタンフォードが北米のみ、IESEがグローバル、北米以外ですね、担当して役割分担して、統計をまとめております。



 IESEのJAN先生曰く、このモデルの集計には、トラディショナル型しか含まれてないというふうに書いてありましたが、もしかしたらスタンフォードの統計にはトラディショナル型以外も含まれているかもしれないので別途確認しようと思っています。

これは北米のみスタンフォードの数値ですが、北米のサーチファンドの組成件数を表しています。先ほど長谷川先生から説明があった通り84年にこのモデルが立ち上がっていまが、それから低空飛行がかなり長いこと続きました10年以上です。

 ただ95年あたりから上昇傾向が見られまして、リーマンショックをちょっと過ぎてから、急激に成長が加速していることが見てとれます。95年あたりに非常に大きなリターンを上げたケースが出てきましたので、その影響があったのだと思います。リーマンショック後は、一旦はM&Aの件数は減ったのですが、それ以降かなり成長が加速しました。不況が買収の追い風になったとことや、MBA卒業生が大企業以外のキャリアの選択肢を考え始めたタイミングだったんじゃないかと推測します。

先ほど95年あたりに、非常に大きな成功モデルが出てきたという話をしました。これが一つの例なのですが、サーチャーはスタンフォードの卒業生になります。ケビンさんとジムさん、このジムさんは、嶋津さんから教えていただいたのですが、現在スタンフォードの現役の講師の方です。

投資先企業は、ロードサービス、日本でいうJAFみたいなサービスです。

 8Mで買収した会社が100倍以上の価値をつけているというケースです。投資後の成果として、何をしたかということですが、このJAFみたいなサービスに加えて、ロードサービス保険販売事業を展開しました。

ここにいる皆さんはよく見たことないかもしれないですが、携帯電話って昔はものすごく大きくて、車に積んで使うものでした。携帯電話屋で、ロードサービス保険を販売していたという経緯があったらしいですが、携帯電話の紛失故障対応、要するに自動車同様メカニカルなサービス提供をはじめました。

さらにはデジタル機器ですとか、コンテンツ保護の事業を展開していった様です。

事業を拡大して行く過程では複数のM&Aを実施されたとのこと。

元々売り上げが6ミリオンドルなので、今の為替だと8億円ぐらいの会社だったのを、3ビリオンなので、4千億円ぐらいまで大きく成長させました。従業員は当初40名が今1万7,000人、加入者は60万人が2.8億人ということで、今やグローバル企業になっている成功事例がありました。

続いて北米以外の件数ですけども、ここ10年で急増し、北米の半分ぐらいまで到達しました。成長スピードが速いのでかなり北米との間が詰まって行く可能性があります。

それから買収した企業の地域的な分布になります。全米に渡っているですがやはりスタンフォードのお膝元のカリフォルニアは非常に多いですね。右側に、サーチャーが居住している州内で買収したのか、同地域内で買収したのか、それとも居住地域外なのかっていう分布がありますが、やはり、居住地に近いところが多いですが、北米で皆さんご存知の通り非常に国土が広いので、地域外っていうと本当にもう、他国に行くようなもので、飛行機に乗って行くことになるので私はこれを見ると意外と広域で活用活動しているサーチャーが多く、地域にあまりこだわりなく広域で活動しているのだと認識しました。

それからこれはIESEの方ですので、北米以外です。既に5大陸全てをカバーしています。やはり、欧州においてはIESEが所在するスペインが一番多い。次にイギリスと続いていきます。

面白いのがスペイン以上にメキシコの件数が多いという形です。おそらくここは言語の問題もあるじゃないかなと思うですが、スペイン語圏ですので、IESEで学んだ方が、たくさんいらっしゃるのかわからないですが多いということです。

日本では、IESEの卒業生の黒澤さん一人がトラディショナル型で活動されていたのだと思いますが、いかに日本が遅れをとっているかということがわかります。

それからステータス別の件数になります。

北米の累計ですけども、トータルで401件のファンドが組成されました、そのうちサーチが終了しているのが305件、買収に至ったのが、305件のうち、204件です。


そしてその内、まだ経営中なのが半分。残りの半分がもう既にエグジットを迎えていますが、プラスのリターンで終えたのが67件で、マイナスが37件という状況です。

もう少しわかりやすい、構成比でお見せしますと、サーチ期間終了を100%としたもので67%は買収が成立、33%は不成立。買収成立のうち、リターンがプラスで推移もしくはエグジットしているのが75%です。


現状どれぐらいのリターンが見込めるのか、もしくは既に得たのかということもわかるのですが、1倍から2倍、5倍となって最後に10倍以上の構成比が9%もあります。

非常に大きなパフォーマンスを見せる会社が出てきているということです。

一方で、リターンがマイナスで推移しているとこもあって、そのうち33%は全部ロスしたということですので、倒産したということになると思います。

サーチャーがサーチ活動をするにあたって、どの産業をターゲットにしたかというのがこちらの分布になります。一番大きいのはテクノロジー、やはりアメリカらしいですが、それからヘルスケア、サービスと続いて参ります。

しかしながら、実際活動して買収した結果を見ると、サービスが一番多いという形で、続いてソフトウェアです。そして、さっきのチャートと分類が違うのですが、テック企業。

それからヘルスケアに続く形になります。

おそらくサービスというのは財務モデルとして、設備投資があまりないので先々が読みやすい、短期間でスケールがしやすいということでサービス業が選ばれるということかと思います。

それから買収対象企業のオーナーの年齢ですが、日本の場合はおそらく後継者不足で70代が非常に多いのではないかと思うですが、アメリカの場合はリタイアする年がそもそも若いのだと思いますが、大体60代がピークになっています。面白いのが、結構20代から30代がいるので単純に後継者不足の対策ではないなというのがアメリカのケースです。

続いて、投資リターンの推移です。黎明期にAsurionの様に大きなリターンを出したホームランが出た影響だと思いますが、ROI全体の平均は年々下降傾向です。しかし、トップ3や5を除く平均、中央値に近い数字は年々、改善が見られます。恐らく、サーチファンドにおけるバリューアップの仕方について知見がたまり、改善が見られるのではないかと考えます。

次に、IRRの推移です。これは単年度の利回りなので、ROIよりも穏やかなグラフになっています。傾向はROIと同様、全体平均は収斂して来ているものの、トップ3、5を除く平均は上昇傾向にあります。



続いて、サーチャーが得るキャピタルゲインの金額です。0も一定数いますが、2-4ミリオン、日本円にして3億円~5億円、更には10ミリオン以上、日本円にして13億円以上という巨額の成功報酬を得た実績も多く存在していることがわかります。

ここからは細かいチャートになって行きますが、先ずサーチファンドを始めた年齢です。中央値が32歳、北米のMBA生の年齢は若いのでその影響もあると思います。しかし、25歳から55歳と幅広いレンジです。

続いてMBA卒業後の経過年数ですが、中央値は1年です。そして、男女比です。過去は0%が並んでいましたが、直近は女性の比率が上昇しています。ちなみに日本ではまだ女性のサーチャーが登場していないので、女性第一号の席は空いていると認識しています。

続いて、サーチャーのバックグラウンド、前職をまとめたチャートです。コンサルタント、投資銀行、事業会社のマネジメント、プライベートエクイティが上位となります。

サーチャーの活動を一人、ソロでやるか、二人、ペアでやるかの比率です。半々の年もありますが、直近ではソロが8割となっています。

サーチ活動に向けて調達した資金は、約2年分の給与と活動費となりますが、45万ドル、日本円で約5千万円が平均となります。一人当たり換算も、一人の割合が高いのであまり変わりません。そして、1サーチファンドあたりの投資家の人数は平均で15人、ファンド組成に要した月数は平均3.1カ月となります。

15名の投資家から3カ月で5千万円もの資金を調達するのは難しいですが、それを可能にしているのが、大学を基盤とした支援機関やカンファレンスの存在です。サーチャー予備軍はこれまで説明した統計データや、カンファレンスで、成功者によるパネルディスカッション、インターンシッププログラムの提供を受けたり、サーチファンドをテーマにした授業を履修したりして、サーチファンドへの理解を深めて行きます。そして、資金については、投資家やアクセラレーターに対しピッチをする場が提供され、資金調達をスムーズに進める仕組みがあります。それから、サーチ活動に入ってからも、中小企業データベースへのアクセスが可能になるなどのサポート体制が充実しています。


トップスクールの状況を見ていきましょう。スタンフォード、IESEはこれまで説明して来た通りですが、サーチファンド専門のHPがあります。ノースウェスタン・ケロッグは、Entrepreneurship Through Aquation Clubのサイトがあり、卒業生は卒業後5年間サポートが得られると記載されています。MITもサーチファンドのハブ、マイクロPEとの記載があります。続いて、ハーバードのETAクラブです。彼らのwebサイトにこの様な記載があります。「私達のミッションは、サーチャー予備軍の為のネットワーク及び活動を成功させる為のリソース提供をすることである」。Membership Benefitは先輩サーチャーや関連する教授、産業界のキープレイヤーとの関係構築、ネットワーキングイベント、卒業生によるパネル、投資家プラットフォーム、データベースの提供、インターンシッププログラムの提供、各種覚書・契約書締結のレーニングとの記載があります。



ここからは日本のサーチファンドについてお話して行きます。日本のサーチファンドの幕明けです。本日登壇される嶋津さんを含む2名のアクセラレーター創業者が道を切り拓いていらっしゃいますが、現時点での実行件数は10件程度です。

嶋津さんは、BCGご出身で、スタンフォード留学時にサーチファンドに出会われました。JaSFAは、先ず山口FGと日本初のサーチファンドを組成し活動されていました。21年に本日登壇される野村グループさんと共同で、ジャパン・サーチファンド・プラットフォームを立ち上げられました。

伊藤さんは、マッキンゼー、ベインにいらっしゃいましたが、日本で初めてサーチファンドの活動をはじめられた方ですが、ご本人も仰っていますが、サーチ活動の資金調達をするために個人投資家へコンタクトされた結果、その方がオーナーである企業を承継することになったので、純粋なサーチファンドではなかったとのこと。ちなみに、ヨガスタジオのヨギーを承継し、スケールし既にエグジットされています。伊藤さんはサーチファンド・ジャパンを日本M&Aセンターと、人材エージェントのキャリア・インキュベーション、DBJと共同で立ち上げ活動されています。

日本で最初のサーチファンド活用事例と言われているのが、嶋津さんが山口FGと共同でGPを務め組成されたファンドです。長谷川先生が特別研究員をされていたバブソン大学でMBAを取得された渡邊さんが、2019年に杭打ちという土木事業の北九州にある塩見組を承継されたケースです。

山口FGは直近では単独でGPとなり、他の地銀と連携し、対象エリアを従来の山口・福岡・広島に加え、香川・愛媛・岐阜・奈良へ拡大しています。

ここで日本のモデルを類型化します。さきほど説明した欧米の類型ではトラディショナル型が主流でしたが、日本ではIESEの卒業生の黒澤さんのケースがありますが、IESEを中心に資金調達されているので、欧州のモデルとみなすと、現状、日本にはアクセラレーター型と地銀型が存在することになります。アクセラレーター型は欧米のモデルに近いですが、大手金融機関やM&A仲介、人材エージェントと提携している点が日本の特徴です。地銀型は、融資先の維持や地域活性化が目的で、MBOを推奨している特徴があります。

では、なぜ日本のサーチファンドは欧米と異なるモデルを形成したのでしょうか?これは私自身の仮説ですが、さきほど説明した大学の団体の様に、中立的な機関による活動支援や定期カンファレンス、ネットワークが不在であること。また日本にはエンジェル投資家が少なく、サーチに活用できる非上場企業の公開DB存在しないことも背景にあると思います。地銀型は事業承継ファンドなどの既存スキームへサーチファンドによって都市部から優秀な経営者候補を獲得して来るモデルを確立したと見ています。アクセラレーター型は、トラディショナル型の進化系であるアクセラレーターモデルから導入したのではないかと考えていますが、後ほど嶋津さんご本人からお話を伺いたいと思います。


サーチファンドの時間軸ですが、北米のトラディショナル型は、サーチ及び買収に約2年間費やしますが、日本のアクセラレーター型は、サーチ、買収を約1年で完了させることを基本としています。これは、ソーシングや買収プロセスへアクセラレーターから手厚いサポートが得られるから短期でのクロージングが実現するものと捉えています。

それにしてもサーチファンドはなぜここまで大きなリターンを生むことが出来るのか?私も不思議に思っていました。そのマジックを知るには、LBOローンのレバレッジ効果を理解する必要があります。

買収に向け先ず買収用の特別目的会社SPCを立ち上げます。企業オーナーから譲渡を受けた株式が借り方に来て、貸方に自己資金と銀行からの借り入れの2階建ての構造をつくります。これがレバレッジ、梃の効果を生むのです。

右のチャートの様に、全額自己資金で投資した場合、企業価値が2倍になれば、自己資金も2倍、つまり自己資金の1倍のリターンのみです。一方で、30億円の価値の企業を自己資金10億円、借入20億円で買収した場合、企業価値が倍になったときに、借入は元本(性格には金利もですが、)を返済すればよく、残りは全て自身の取り分になり、自己資金が4倍になるというレバレッジが効くのがこの仕組みです。これが高いリターンを生んでいる一つの理由です。



最後に、これも私の持論ですが、サーチファンドのプロコンです。

投資家のプロスは、サーチャーによるソーシングで買収先が見極められる。モチベーション高い経営者候補の獲得。ESG投資、持続可能な社会づくりへの貢献。欧米の事例から高いROIが期待できる。金融機関からの融資が受け易く、レバレッジ効果が利くというメリットがあります。

投資家のコンズは、サーチ期間の投資が無駄になるリスク。投資規模が小さい(手間が掛かる)。当然ですが、経営時の想定崩れによる損失リスクがあるといったことです。

サーチャーのプロスはサーチ期間の資金(給与+活動資金)が得られる。若くして経営経験が積める。身銭を切る必要ない(買収時自己資金投入は任意と聞いています)。個人保証はない。給与とは別に、高い成功報酬が期待できる。地域創生への貢献、MBOの機会があり、真のオーナーになれるチャンスがあるといったところです。

サーチャーのコンズは、企業探索できない、または買収不成立で終わるリスクがあります。 キャリアの分断となると言われていますが、私個人の考えとしては多くの経営者とお会いできるチャンスは例え買収が成立せずとも人生の糧になると信じています。また、初めての経営で想定以上に苦労し、企業価値を向上できず、成功報酬が得られないというリスクがあります。

売り手オーナーのプロスは、事業会社による買収と異なり企業名、自律性の維持が可能。買収時に承継者がわかっていることや、新しい知見の獲得(イノベーションへの期待)などが挙げられます。

売り手オーナーにとってのコンズは、売却額が必ずしも最高値ではない。5年程度でエグジットを迎えるスキームであるということへ理解を示さないオーナーさんもいる筈です。MBOのみならず、PE・事業会社への再売却もあるからです。


投資家の実態(嶋津さん、妹尾さん、司会:長谷川教授)



長谷川 

今日はお二人の方にご登壇いただきたいと思います。まずは前川さんのプレゼンにも出ていました、嶋津さん、自己紹介とどんなお仕事をされているか、お願いします。


嶋津 

ご紹介に預かりました、ジャパンサーチファンドアクセレレーターの嶋津と申します。私は大学卒業してから長らくボストンコンサルティングというコンサルティングファームで7年くらいコンサルをやった後に、スタンフォード経営大学院に留学しました。内田先生は私が入社して割とすぐにご退職されてしまったんですが、先生のご自宅でワールドカップを見せていただいたりしました。杉田先生は長らくプロジェクトをずっと一緒にやっていました。スタンフォードにいくときは、サーチファンドを勉強したかったということではなく、どちらかというと、自分の人生を見つめ直してキャリアをしっかり考えようと留学しまして、そこでサーチファンドと出会うことができて、卒業後サーチファンドの日本での立ち上げをやっています。仕事としましては、山口キャピタルさんと一緒に、YMFGサーチファンドをひとつ運営しております。昨年野村グループさんと一緒にジャパンサーチファンドプラットフォーム、通称JSFTという新しいサーチファンドのプラットフォームを立ち上げましてこちらの運営を今やっております。

山口キャピタルさんとの取り組みは新しいサーチャーの募集は止めておりまして、今いるサーチャーさんが投資をするとファンドとしては終了といいますか、投資が終わるということです。そちらのJSFPに関しましては昨年末に立ち上げたばかりでして、今日もお呼びしていますが2名サーチャーさんが活動されています


。これから数年かけて、どんどんサーチャーさんを増やしたいということで、サーチャーさんの募集選定をしています。それから、今いるサーチャーさんと一緒に会社を探すということ。あとはプラットフォームのサポーター、スポンサー、投資をしていただいてかつ事業を一緒にやっていただく連携の企業様も募集していて、この夏くらいには枠組みが固まるところで、その推進をやっています。


長谷川 

続きまして、野村證券の妹尾さんよろしくお願いします。


妹尾

野村ホールディングスの妹尾と申します。これまでの経歴を簡単にご説明すると、もともと営業部門で個人と法人のお客様の資産運用関連ビジネスに従事していました。その後、弊社アジア戦略に関連した仕事に長らく携わり、アジアの子会社経営管理や弊社シンガポール拠点でアジア地域におけるインフラ投資ビジネス等を行っておりました。現在は、インベストメントマネジメント企画部で投資ビジネスに関連した仕事に携わっています。その中で昨年嶋津さんとサーチファンドを一緒にやりましょうということで、サーチファンドの立ち上げをやらせていただいています。よろしくお願いします。


長谷川

まずは、前川さんのプレゼンテーション、特に欧米と日本の違いということがあって、日本のほうが確定的にこうだというストーリーができていないと思うのですが、現状分析をしてみたいと思っています。先ほどトラディショナル型、セルフファインディング型、スポンサード、アクセラレーター、いろんなタイプ


がありますという中で、前川さんの仮説ではあるのですが、日本では欧米では主流であるトラディショナル型は難しいのではないか、アクセラレーター型か地銀型、地銀型というのはスポンサード型に近いかもしれないけれど、欧米の主流のファイナンススキームと日本型がちょっと違うのではないか、という仮説ですね。これが日本の風土・風習に根付いたものなのかによって違うとは思いますが、アクセラレーター型、あるいは地銀型がメインではないかという仮説について嶋津さんのご意見をいただきたいです。


嶋津 

結論から申し上げますと、環境要因でおっしゃるようにトラディショナル型が非常に難しい。日本の中だけでトラディショナル型の投資家を集めきって、自らのネットワークだけで会社を探しきるのは非常にハードルが高いです。なので、私が日本にサーチファンドをもってくるというときに、実はトラディショナル型ができるのかどうかを10か月くらいトライはしてみたんですけれど、これは難しいなというのがありまして、アクセラレーター型にたどり着いたというところです。最初にアクセラレーター型をやろうと思ったときは、先ほど地銀型とアクセラレーター型を分けていただいていましたが、私の中では一つだったんですね。山口フィナンシャルグループさんとやらせていただくというのも、地銀さんと一緒にアクセラレーターモデルをやるというイメージだったのです。ただ、やっていくと、特に資金を出資してくださっている方が100%山口フィナンシャルグループさんだったこともあって、より投資家の意向が反映されやすい形になっていき、結果としてスポンサードに近い状況になっていったということかなと思います。

アクセラレーター型を私は今も志向し


ていまして、スポンサードよりはよりトラディショナル型に近いのがアクセラレーター型だと思っています。というのは、サーチャーのアントレプレナーシップ、独自性、意向というのがスポンサードよりもきちんと反映されやすい、そういうガバナンスが効きやすいと思っております。そういう意味で私はアクセラレーター型を推しています。ただ、将来的にどうなると思っているかということで言いますと、将来的にはトラディショナル型が増えてくると思っていますし、増えていくべきだと思っています。ただ、そこには結構時間がかかるかなと思っていまして、まずこのアクセラレーター型や地銀モデルというところから、サーチファンドの成功例が出てくる。そうすることで、きちんと投資家へもリターンが返る実績が出る。

これによって初めて、投資をする人が増えてくるのですよね。また、ただお金がある投資家だけがいればいいということではなく、サーチファンドをきちんと理解していて、初めてサーチャーをやる個人をサーチ期間中にサポートできる人が伴走するべきだとして、アメリカのトラディショナルサーチファンドでは投資家の皆さんがサーチファンドを熟知してらっしゃる。その方たちから教えを乞う形なので、日本でもサーチャーをしてイグジットをして成功して資金をもっている人が増えてくると、その方の一部がサーチャーの投資家になっていく。そうするとより資金も集めやすくなり、サーチの伴走もしてもらえるということで、トラディショナル型かワークする環境ができてくるのではないかと思います。


長谷川

妹尾さんも日本でサーチファンドに関わっていこうと思われたときに、いろんなタイプがある中で、どういうところがいいか色々リサーチされたと思います。あえて嶋津さんと組むこと至った背景も含めて、サーチファンドの型や日本のオリジナリティについてコメントいただけたらと思います。


妹尾 

嶋津さんのことは新聞にサーチファンドとはということで取り上げられていまして、その時から拝見しておりまして、サーチファンドというモデルが日本に通用するのではないか、という形で進めておりました。普段お客様からいろいろな形で会社を売りたいという話や、事業承継のアドバイスをもらえないかという多様な相談を受ける中で、なかなか普段の例えばM&A仲介を紹介するとか、もしくは我々自


身がファイナンシャルアドバイザーとして、そういった中でもう少し規模が小さい企業に対してなにか提供できないかと考えていた時に、ちょうどたまたま嶋津さんとご縁がありまして、ぜひ一緒にやりましょう、となった背景としましては、日本で独自のサーチファンド業界のパイオニアとしてすでに知名度もご実績もあられたということもございましたので、野村ファンドクラスだとリサーチャーの方から信用を得られないかもしれないという中で、JASFAさんと一緒であれば、新しくかつ先進的な取り組みができるのではないか、というのが背景でございます。


長谷川

私が説明したことでもあるのですが、通常のPEファンドという発想からすると、サーチをしなければならない。当然取り扱う会社の強み弱み将来性をきっちり分析して、さらにお客様や、工場の内容、従業員の方々の内容までサーチして、かつ、いったんとはいえM&Aを仲介するので、投資契約書、売買契約書といった色々やり取りをするとなると、ある一定のリーガルコスト、税務コストが発生します。通常、野村さんがやられているM&Aや仲介からするととても割に合わないという。20億、30億くらいなら話に乗ってもいいけど、できれば100億単位くらいの案件をやりたいな、というのが普通のPEファンドのロットだと思います。つまり2、3億円でと言われたら通常のPE的な発想からするととても割に合わない。だからといっていい加減にすればいいかというものでもなく、契約書を結ばなくてもいいというものでもない、というところがあってなかなか難しいよねと。野村さんがもっと社会インフラにする意味では、1件当たりが小さいゆえに数がいっぱい増えないと野村さんとしても採算が合わないと思いますが、将来のロードマップはどう考えられていますか。


妹尾 

圧倒的に事業承継者が日本にとって大きな問題であるというところから、非常に規模の小さい企業がたくさん悩まれている中で、間違いなくマーケットとして伸びていくと思っておりますので、我々としてはまずこのモデルをし


っかり日本に根付かせまして、みんなでパイを拡大していくことによってしっかり経済的メリットも追求していきたいと思っています。


長谷川

ということは、PEサイドから出てくる話というよりは、事業承継の問題とか社会的インパクトというところが大きくて、当然リターンがどう上がるかということもあるし、1件当たりのリターンもあるし、数がまとまらないと社会的ムーブメントにならないと思います。それは事業承継がうまくいっていない、あるいは後継ぎがいないというのがこんなにたくさんあるというところから、それに何とかこたえたいというのが大きな要因と考えてもいいですね。


妹尾

そうです。発想としてはまさにそこが大きな要因となっていまして、ただ先ほど嶋津さんがご説明された通りサステナブルなモデルとしては、経済的にしっかりリターンを追求できなければ投資もつかないので、両方をしっかり追求していきたいなと思っています。


長谷川

ちゃんとしたリターンを挙げなければい


けない、そのためにも本来トラディショナルでやるというところが、今はトラディショナル型ではないその理由は、ひとつはエンジェル投資家が少ないことも含めて、投資家側の理解がまだ少ないことと、もう一つは売る側のマインドが醸成されていないことです。いわゆる事業継承、後継ぎがいないときに、M&Aで売ってしまうのは日本でも広がってきているんですね。ですが、サーチファンドを使って自分の事業体を続けてもらうということについての認識とともに、まだ決断ができないという売る側の問題があります。3つ目としてはサーチャーの問題。サーチャーがまだまだ人数が少ないし、どんな人が向いているかが不明です。海外はそうはいってもMBAに対する社会的認知と評価があって、企業経営の経験が少ないけれどもMBA生が会社に入り込んでV字回復をさせることについてはある程度の経験もあるし社会的認知があります。一方、日本ではMBAを卒業してるかもしれないけど何ができるんだい?若造が創業何十年という俺の会社でやっていけるんかよ、という売る側の質問に答えられる人が少ないというサーチャーの問題。いろんな問題が複雑に絡んでいると思います。投資家側、売却側、サーチャー側の問題3つに絞って言うとしたらどうでしょうか。


妹尾

おっしゃる通りで、この3つがすべて、にわとり卵でくっついていたというのが最初の問題だったんですけれども、そこをどこかしらピン止めして固めないと次がいかない。お金がなければサーチャーを雇えない、サーチャーがいなければサーチができなくて会社が見つからない、会社がなければサーチャーがいなければ投資家は怖くてお金が出せないという中で、まず山口ファイナンシャルグループさんとの取り組みでは資金を固めたんですね。そこでお金があればまず実際に人を雇うことができ人に行き、会社を探しに行ったというのが最初のプロセス。そこからJSFPも立ち上がってある程度の資金的当面の目途もついてきていて、もっともっとサーチャーがふえることを期待しているのですが、希望してくださる方もそれなりにいらっしゃる。最後の会社のところはやはり、地道な活動がどうしても必要で、たくさんの会社がいろんなところにありますので、最後の関門としてサーチ、会社というところに向き合っているというのが今のステージですね。


長谷川

野村グループは日本全国たくさんのお取引先があり、中小企業もお客さんにいる中で、後継ぎもいない、どうしたらいいんだろうという相談を受ける中で、サーチファンドに向くタイプのお客さんと向かないタイプのお客さんもいらっしゃるだろうし、経営者のメンタリティというか考え方によっても違うんじゃないか


なと思います。ここからは仮説でも結構ですのでどういうタイプの経営者、業種、地域がサーチファンドの売り主にふさわしいとお考えですか。


妹尾

 実際に活動を行う中で感じておりますのが、一円でも高く売りたいとか、オークションにして誰でもいいから会社を買ってほしいという人はあまりサーチファンドの仕組みは向かないと思っておりまして、そういうお客様にはぜひM&Aですとか他の方法での事業売却をおススメしています。一方で、自分で会社を継ぐ人はどんな人なんだろう、顔を見たいですとか、もしくは何らかの思いがあって自分の思いを実現してくれる人に自分の会社を託したい。従業員が大事なので従業員はどうなるんだろう、よくわからない会社に買収されると、といった心配をされる経営者にはサーチファンドは非常に合うと思っています。そういった課題を抱えている方にお声をいただいているので、自分の思いや人をみていたい、そういった思いがあるお客様に非常にサーチファンド


は向いていると思っています。


長谷川

嶋津さんはたくさんのマッチングをご覧になっています。平たく言えばお見合いをするのは売り主とサーチャーがするんですが、お見合いの場を設定するのは嶋津さんじゃないかなと思います。うまくいくお見合い、特にお見合いするのが目的ではなく、M&Aした後のポストマージャ―が大事なので、それを見据えた後でこういうタイプがマッチングするんじゃないかについてお聞きしたいです。お互いの相性が合えばいいのであれば、お見合いパーティみたいに300人対300人ボートに載せてどうぞ好きな人出会ってください、とやればいいのかもしれないけれど、サーチファンドというのはそういうやり方ではないと思います。どういう風にしたらマッチング率が上がるのか、幸せな結婚ができるのか、どうしたら成果が上がるのか、何か現時点で考えられていることがあればご説明ください。


嶋津

まさにそこを解き明かしていくのが我々の役割かなということで、現時点で合う前からこの人とこの会社が合うなみたいなところまでは正直わからないです。先ほどたくさん会わせるしかない、とおっしゃっていたのですけれども、それが結構な数に足を運んでみないとわからないというのは残ってはいるなと思います。行ってみて初めてわかる会社の情報や、会ってみて初めて分かるオーナーの人柄や考え方もあるのは大前提です。ただ、ひとつあるとすると、どのオーナー様も自分の会社を愛してくれて、強い思いをもって引き継いでくれる人を探しているということになるので、サーチャー側が強い興味を持てる、サーチャー側がかなり高いモチベーションで向き合える




会社でなければワークしないと思います。婚活であれば男女どちらからスタートしていいし、一緒にいるうちに好きになっていくこともあると思うのですが、このモデルについてはサーチャーがまずほれ込んでオーナーを口説き落としていくというのが正攻法であって、ヘッドハンティングと逆ですよね。会社側がこの人いいなと思って、というのと逆で、サーチャー側のモチベーションがひとつあるとしたら大事なのかなと思いますね。


妹尾

お客様の紹介をするとなると野村グループの場合ですと営業マンの方々が、そのお客様だったらサーチャーの方と合うんじゃないかというマッチング要素があると思っていて、お客様を紹介する立場からすると、あのお客様と合うんじゃないかというところも案外サーチファンドを追求していく上でひとつ重要なポイントかなと。まさにいろんな人からこの人とこの人合うんじゃないかということをひとつずつみていくというのがポイントかなと思います。


長谷川

そういった意味では、ある程度のインフラ、我々はコミュニティあるいはエコシステムと呼ぶんですが、ある程度基礎温度が上がっていかないと(1個1個のマッチングやディールはできるかもしれないけど)、日本全体として案件が増えません。そういう意味では先ほど前川さんの説明の中に、大学が中立的なポジションをうまくつかいながら、エコシステムのハブにはならなくても、ある程度大きなサークルの中心にいることが大切です。その参加者は、丸い人でよきに計らえ、みたいな人では全然だめなので、ある意味とがった特色のある方のほうがいいと思うんです。とがっているということは当然、マッチングが難しくなるということを意味しています。日本でエコシステムがうまくいっていないひとつには、我々大学が効果を出してしていないからと思ったりしますがいかがでしょうか。


嶋津

本当に、大学の果たす役割、サーチファンドのコミュニティの中では特に大きいと思っていまして、まだサーチファンド業界が日本は黎明期なので、ハブが一つできると本当に変わってくると思います。サーチファンドは最小ロットのコミュニティで小さくてみんながつながっていて、共に助け合う、そういうコミュニティが強いと知られている業界なんですね。その中心に大学があるからこそ利害を超えてつながりあえて、投資家同士がつながる、サーチャー同士がつながる、サーチャーと投資家がつながる、情報が発信されていくということになるので、日本もそこに向かっていけたらいいなと思います。



長谷川

特にサーチャーは欧米の場合には、ほとんどがMBA出身ということが多いですよね。100%とはいかないと思いますが、卒業生も含めて卒業して4年後6年後にサーチャーやってもいいわけですから、そういった意味で大学が卒業生とずっとつながるという意味ではすごく相性がいいと思います。


妹尾 

スタートアップエコシステムをぜひサーチファンドに限らず、中小企業の事業承継のエコシステムをつくりたいというのが我々の思いでもありますので、大学が果たしてくれると非常に大きいですし、そういうプラットフォームを一緒につくっていけたら大変ありがたいです。


長谷川

最後に一言ずつメッセージをお願いします。


嶋津

今日アントレプレナーシップの授業で、なんでいきなりサーチファンドの話なのかと思われている方ももしかしたらいらっしゃると思うんですが、このサーチファンドは欧米ではアントレプレナーシップの柱の一つととらえられています。アントレプレナーシップ、起業家精神を発揮するという行為にあたって、起業するのは手段である。0からつくってアントレプレナーシップを発揮してもいいし、そうではなくて、自分がやりたいことにより近いものがそこにあるならば、買ったほうが早い


しいいよね。あるものを承継して、そこからアントレプレナーシップを広げていくという、先ほどEPAというのが先ほど前川さんのお話にもありましたけれど、Entrepreneurship through Acquisitions。承継を通じたアントレプレナーシップの発揮、これの形がサ


ーチファンドですので、日本の中でもアントレプレナーシップといった時に、起業家の話だよね、スタートアップの話だよね、0-1クリエイティブ、イノベーションだけではなく、ぜひ承継を通じたアントレプレナーシップ、サーチファンドというものを頭の片隅においていただいて、自分のやりたいことに向かってどの手段が近道なのかと考えていただけるとよいのかなと思います。


妹尾 

我々としましても、まさに新たなキャリアオプションではないですけれども、スタートアップに優秀な人材が行くと同時に、中小企業にも優秀な人材が流れ、日本が地方創生も含めて元気になれるような夢をもっています。日本を元気になるためには、若い力が大都市に固まるというよりも、いろいろな場所で活躍していくそういった場を作っていきたいと思っておりますので、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。





サーチャーの実態(前川さん、サーチャー、司会:長谷川教授)



長谷川

引き続き、今度はサーチャー候補の方も含めて、サーチャー側のご意見・現状・問題点について色々討議をしていきたいと思います。では順番に簡単に自己紹介と今後どういうサーチャーになっていきたいかを含めてご説明をお願いします。


松本

本日は貴重なお時間を有難うございます。JSFPで1人目のサーチャーになりました松本竜馬と申します。経歴としましては2013年に三菱商事に入社致しまして、長らくPEビジネスに関わって参りました。先程ベインキャピタルの杉本さんの話も出ましたけれど、ご存じない方も多いかと思いますが、三菱商事には黎明期から日本のPE事業を支えた長い歴史が有り、そうした歴史ある事業に携わっておりました。2019年からアメリカ・ニューヨークに有るバイアウトファンドに出向して投資チームの一員として1年半勤務致しました。2021年の5月に米国から帰任し、都市開発本部という部署でインドネシアのスマートシティプロジェクトを担当、今年の2月の末からサーチファンドのサーチャーをやらして頂く事になりました。サーチャーの将来像というのは、どういった経営者になるのかという所も有りますが、私としてはサーチファンド業界の黎明期でJSFPの1人目のサーチャーという所で大ホームラン案件を作りたいと思います。本日は宜しくお願いします。


長谷川

有り難うございました。それでは岡部さん、お願いします。


岡部

岡部と申します、本日は有難うございます。私は松本さんと社会人同期になりますが、2013年に日本M&Aセンターという仲介の会社、新卒3期生で入り、100人位の小さな組織でしたが、そちらで5年弱、営業として経験を積み、2018年からYCP Solidianceというブティック戦略ファームに在籍しマネージャーまでやり、今月からJSFPのサーチャーになり活動しています。サーチャーの姿は“結果を出すこと”だけと思っており、今はサーチ中です。


長谷川

有り難うございました。では繰り返しになりますが前川さん、同じ質問でお願いします。


前川

経歴は先程ご説明の通りですが、私はプレサーチ契約中で見習い期間中です。今、審査を受けていて、これをパスすれば、正式に給料貰いながら活動をするというフェーズになります。


長谷川

有り難うございました。このメンバーで討議していきたいと思いますが、最初に経歴については今、ご紹介しましたが、まだ日本では実績が少ないサーチファンドという業態に飛び込むサーチャーとして、これまでの色んなご経歴を終えてサーチャーという新しい社会に飛び込むということを決断された訳ですが、決断するに際して不安、恐れる気持ちと、ワクワクした気持ちの両方が有ったのではと思いますが、サーチャーという仕事のメリット・デメリットについて、ご自身の見解で良いので、お知らせ頂ければと思います。


松本

そもそも私がサーチファンドでサーチャ-になりたいと思った理由は、母方の祖父が中小企業の経営者をやっておりましたが事業承継に至らず、会社を畳む事になった背景が有ります。もし、自分が継いでいたら「もっと大きい会社にしたかった」という想いがございました。長らく経験したPEビジネスでの知見を活用しつつ、経営者としてのキャリアを歩んでいけることは個人的に「理想のキャリア」であると考えております。加えて、リスクをとり、会社を成長させた成果に見合ったリターンを得られる、という点も大きなメリットだと思っています。一方でデメリットは何かというと、やはり会社勤めでの安定した収入を失うことに対する不安もあろうかと思います。ただ、仮に失敗したとしても“良い経験”になるでしょうし、個人的にはデメリットはあまり感じておりません。


長谷川

有り難うございました。では岡部さん、宜しくお願いします。


岡部

Pros/Consという事だと思いますが、サーチファンドの仕組み自体が、我々30代半ばの者にとって唯一のプロ経営者の入り口だと思います。0⇒1の起業をしようかなと思った事は有るが、日本の置かれている過去のストックが有って、それを生かしていかなければならないという事を鑑みて私はプロ経営者を志向していますが、オンリーワン選択肢を提供頂いている事に他ならないと思っています。デメリットは、確かに会社を辞めて挑戦することになりますので、恐れは一応有りますが、かといって個人保証して失敗したら首吊るということでもないので、それ程リスクは無いです。


長谷川

有り難うございました。では前川さん、宜しくお願いします。



前川

私も同じようにリスクとリワードのバランスを見た時に、サーチャーにとって、かなりリスクが低くてリワード高いモデルだと思っています。サーチファンド研究会でも、色々な人間が同じような感想を持っています。あとは何で飛び込めたかという事の1つとして、黎明期で業界を作っていく立場になれるチャンスが結構大きい、前職でも多分このモデルにフィットする人は沢山いますし、WBSの同期でも沢山居ます。それに対してファーストペンギンとしてのモデルを見せて、飛び込んでも大丈夫だと見せられたら良いなというのが結構モチベーションになっています。


長谷川

有難うございます。皆さんご存じのように私自身は、アントレプレナーをやった経験があるので、0から35歳で会社を辞めて、暫く月給7万円からスタートしています。投資家回りは本当に辛くて、お金が集まらない中で、泣きながらなんとかお金を集めて「絶対、将来上手くいってやる」という気持ちしか無かったのです。ものすごいリスクで、若くないと、とてもできない、冷静に考えたら飛び込めないのがベンチャー企業だと思います。今回のサーチャーはそこまでの、“生きるか死ぬか”というレベルのリスクではないですから、すごく恵まれているポジションかなという気はしている一方で、ベンチャーキャピタルというのは、シード系と言いながらも、ポートフォリオを組む。相手のベンチャー企業、経営体と我々との相性を考えて、将来性をちゃんとリサーチした上で投資をするのですが、さりとて投資先が1社というのは怖くてポートフォリオを組みますが、サーチファンドの場合は1社という限定がつくので、自分が良い出会いが出来るのか、相手の会社に乗り込んでいった時に自分がどれだけのバリューを出せるのか? 自分が会社を経営したことが無い中で、本当に従業員の方々を目標に向かって走ってもらって成果を出すことが必要です。先程前川さんが海外の事例があったと思いますが、乗り込んで行く前よりも売上も従業員も伸ばした成功例を仰ったが、自分が乗り込んで行って、乗り込む前よりも伸ばすだけの自信があるか、その辺の勝算はどう考えていますか? 松本さん、お願いします。


松本

1点目の会社とのマッチングは、いろんなオーナー経営者の方々とお話をしていると、会社の社風が、その経営者から伝わっていると分かる事があります。そういったオーナー経営者の方々と話していて、「この人と自分は合うな」と割と早いタイミングで分かるという所は1つ、フィーリングを確認できるための安心材料だなと思っています。一方で会社組織なので色んな方がいらっしゃって、そういった方々から信頼を得られるかは、正直入ってみるまで分からないです。私個人の経験としては、アメリカのファンドに出向した時に、最初、英語も拙い、技術もそこまで無いといった中で非常に「汗水垂らして働く」じゃ無いが、誰よりも長く働き、そして価値の有るものを提供すると信頼は勝ち取れていくと思います。そういった自信が身についた事もあるので、精一杯従業員の方のために働く、そうすれば最後は認めて頂けると思っています。2点目は成長させられるかどうか、勝算についてなのですけれども、私は前職三菱商事で懐の広い先輩方が多くて、ご相談すると何らかのご紹介を頂いたり、ご提案を頂くこともあるので、そういったネットワークを辞めた身でも活用させて頂ける余地が有るという所は1つの勝算になっています。


長谷川

有り難うございます。岡部さん、お願いします。


岡部

被っている所は有りますが、相性や自分自身が価値を出せる所かというのは極めて重要なイシューですが、そこは自分自身のソフトスキルもそうですし、あとは自分自身が経験してきた、私ならハンズオンやPMI、やってきた業種が製造だとか介護だったりするので、その辺の業界を基本的に、まずは見ていくという事で、営業でソフトな相性もそうですし、ハードな相性をお互いに確認させて頂くことで、自然と着地していくのかなと思います。入ってからの勝算はロジックで作る話だけかな、と思う一方で、実際自分の部下になる方々は50代だったり60代だったり、年上の方がなられます。したがって人生経験の長さという所については勝ちようが無いですが、一方で私が前職から使っている言葉ですが、「瞬間風速では負けない」という事は有るかなと思っています。仲介の仕事も全員60代・70代がお客さんなんですが、マインドの所で八重洲の会社でしたが、八重洲ホテルに365日住んで仕事をしていて、私より仕事をしていない人しか居ないので、そういうマインドという事。あとは自分で言うのも何ですが、「修羅場」をちゃんと経験する事と思っており、10代で2回位死を覚悟した経験があるので、それと比べると大したことでは無いというマインドになるので、「何とかなるのでは」と楽観的に思っています。


長谷川

有り難うございます。では前川さん、同じ質問でお願いします。


前川

先程の説明通り、祖父が立ち上げた会社を3年経営したという事で、そこで体験した事は前々職には無かった事。ロジックでは無い、やはり特にヒューマンスキルを求められる中小企業であり地方ですので。例えば工場で、「やんちゃ」な若者に、「副社長、だったら自分で機械を回したらいいじゃん」と言われるような環境。それでもやはりしっかり寄り添って、「あなたができる事と、私ができる事と、それぞれ得意なものを持ち寄った方が強い」というコミュニケーションをしながら信頼を築いていきました。同じような事はどこいっても有ります。MBAで学ぶロジック以上に、ヒューマンスキル、ここが今まで以上に磨かないといけない、そこで信頼を勝ち得る、その上で、どうやってスケールさせるか、私の場合、海外経験が長いのでドメステックな企業を海外展開に、最初は輸出から始めるのだろうが、海外に向けて拡大していきたいです。


長谷川

有り難うございます。先程前川さんが仰ったロジックで「こうあるべきだ」、「企業経営はこういう理論で出来ている」というのは比較的学べば出来る。しかし、特に中小企業が相手なので、なかなかロジック通りに行かない事も多いし、従業員の方々が必ずしも論理構成に慣れていないので、そういった意味では、「人としてみんなに好かれる。みんなを導く能力が必要」と思いました。先日、花巻東高校という大谷選手、菊池選手を大リーガーに送った高校野球部コーチ、佐々木弘という監督の本を読みました。エリートが揃う学校じゃないし、地方の学校の中でV字回復、成果を出し続けなければならない。当然、野球選手の養成法という理論やメソドロジーは当然有りますが、全部通用するわけでは無い。人間としてのヒューマンな部分も相当無いといけない中で心に残った言葉が以下のフレーズです。「時間を掛け、負荷を掛け、期待を掛け、言葉を掛ける」。これが人を育てる極意。ひょっとしたら、もっと優れた高校野球児はいっぱい居るかもしれないが、この花巻東高校で一生懸命、皆が練習し、チームとして勝つ、その結果、大リーガーに行けるくらいの選手を出すためには、単なる理論だけではなくて、ヒューマンみたいな部分も大事だと仰っていたことを先程の前川さんの言葉を聞いて触発されました。ちょっと違う確度から、皆さんのご意見を聞きたいと思いますが、先程アメリカにおいては60歳代の経営者が売却の中心、中には30-40歳代の若い売主が居るが、日本においては多分、年齢層はもっと高齢な経営者で、下手したら70歳代、早くても60歳代で、70歳代になり、どうしようもなくなって売りたもい人も多いのではないでしょうか。オーナーが70歳代という事は、周りに居る幹部社員、あるいは従業員の大半な方も比較的高齢者が多いと予測されます。これは多分、欧米とは大分違う状況なのではないでしょうか。地域のしがらみも有って、改革しようと思っても新しい事を拒絶する、改善は喜ぶが革新・イノベーションは喜ばない、足引っ張るメンタリティが有るのではと思います。そういった変化に対して抵抗する者に対して、皆さんの場合は、サーチャーとして乗り込んで行って成果を出さないといけない訳ですが、その辺りのやりくりはどう考えていますか。


松本

質問にお答えする前に70歳は全然現役の皆さん、非常にお若くて、私も70代の経営者の方々とお話をさせて頂くと、非常に頭脳明晰、野心に溢れていて、これから会社を伸ばしていこうとするオーナー経営者の皆さんが非常に多くいらっしゃる。私がこれをやる前は、60代位がターゲットで、60代後半になれば本気で後継者を探しているイメージを持っていましたが、全くそんな事は無い。とはいえ皆さん年齢による限界を感じていらっしゃって、「自分が30代ならこういった成長施策を牽引していきたかった」と仰いながら、かつての夢を実現してくれる後継者を探しているケースはあります。変化への抵抗感にどう対処していくかは、まだ経験は無いですが、PE事業部時代に先輩からご教示頂いたことは、スモールウィンを作るべきということです。会社のフェーズと事業の内容によって、従業員の皆さんが変わったと思える何かを早期に作り上げる事が重要である、と考えており、それを実践したいです。


長谷川

有り難うございます。コッターの8ステップの話ですよね。初期に早く小さくても良いので成功事例を出すんだ、それによって改革のムードを作るんだとコッターも言っており、それの一端を仰ったのかなと思いました。岡部さんお願いします。


岡部

1つ早期に成功作る、クイックウィンと申し上げましたが、それを2・3ヶ月以内に作る事がまず大事かなと思いました。あとはその前提として、我々は基本的に事業承継案件というある程度、既存ビジネス・既存組織を前提としたキャッシュフロー生んでいる会社になりますので、そんなに早急に変えるべきではないという所が一方であるという所は大前提であると思っていますので、その見極めをしっかりやりながら、小さい成功を作って、しっかり信頼関係を築いていくのがまずは王道なのかなと思います。あとはDanaherというM&Aを良く使う企業の国内買収先の社長が私の知人で、PMIに関するミーティングに参加させてもらいましたが、その方が3C分析から始めて、2-3日オフサイトミーティングで、「何を見ているんですか?」とお伝えすると、ホワイトボードを前にした時に、何人立ち上がって書いて参加しているかを見ている、ということを7年前に教えて頂いて、つまり自分事として物事しっかり考えて頂くという事をどれだけ誘導できるのかを真っ先に押さえて深めながらやって行ければ良いかなと思います。


長谷川先生:有り難うございます。じゃ、前川さんお願いします。


前川

私もコッターの8ステップを参考にしていて、1番最初のトリガーになるのが「危機感の醸成」ですね。それはサーチファンドの対象になる優良企業、キャッシュフローを生み出している中でも、よくよく見てみると結構、問題が有ります。それに社員が気付いているケースも結構有って、しっかりヒアリングしていくと見えてくる。このまま行くと本当にこの会社ダメになるという危機感をまずは最初に醸成した上でチーム作って改革をするというようなステップを踏んでいきたいです。ただし拙速になり過ぎるのは非常に危険と思っています。


長谷川

有り難うございます。今度は逆に回したいと思いますが、あまり拙速、タイムスパンを短く物事を考えると、ファンドと名乗っていますが、経営で、事業をやっていますので、あまり短期で考えるとろくな事が無いなと思う。さりとて、あんまりエンドレスで「私が死ぬまで」みたいな、「ある程度まで元気がなくなるまで」みたいな超長期もだめです。やはり期限を区切って物事を考える事はすごく良い事だと思います。一方で日本のメンタリティからすると、若い人が乗り込んで来て、経営立て直してくれた、例えば「上手くいった」時に、「前川さん、居なくならないでよ」「この会社のずっと社長やってくれよ」と言われませんか。従業員も取引先も地元の方も「EXITとか訳の分からん言葉を使わないで、行っちゃうなんて言わないで、すっと居てくれよ」「この会社で骨を埋めてくれよ」「死ぬまで社長やってくれよ」というメンタリティが日本は大きいのではないかという気はしますが、そこは「私は最初から期限付でやろうと思ってますから」と割り切れるかどうかをお伺いしたい。その辺のお考え有りますか。


前川

私自身は、MBOを実行していくという事が有るとは思いますが、サーチファンドモデルの中で、エグジットというのは、有るべきだと思っています。これは、やはりサーチャーにとってキャリアの選択肢であって、これを1つのステップとして次に行くのは全然有りだと思います。その時に、どうやって引き渡すかが極めて重要。エグジットするという事は買い先が居るということですが、そこに対して魅力的じゃないと、バリューも生まれてないことになりますから、投資家にとっても全然ハッピーでない。やはりサーチャーが、その企業に対して付加価値を生んでいる状態でエグジットする。それは非常に価値が有る事だと感じます。


長谷川

そういう状況、付加価値を生めば生むほど、会社において従業員とのコミュニケーションなり、お得意さんとのコミュニケーションが上手く行っているから業績が良いわけで上手く行っているから付加価値が生まれている、がっちりスクラム組んでやっているから離れがたい部分、割り切れない部分が出てくるのでは無いかと思います。欧米的に見れば、ずっと居続けるより一端区切って次に行く、あるいはそこで一端EXITすることで投資リターンが未実現から実現に変わる、未実現利益だけだと投資家も評価しないので、一端実現益に変えるというのはコミュニティを運営する意味ですごく大事だと思いますが、なかなかメンタリティに不安を感じる所です。岡部さん、いかがでしょう。


岡部

その時にならないと分からないと思いますが、一番深い所は、私が思うに従業員の方が自ら課題を発見して解決できる自律組織にしていくことだと思っており、経営者として正しいことをやっていれば、基本的にはそういう組織になるはずなので、その中で自分自身がトップをやらせたいという方が生まれてなければ、サーチャーとしての仕事をしていないと思います。簡単に言うと家庭教師と一緒で、家庭教師が要らなくなったら成功ではないですか。それとほぼ同じかなと思っているが、気持ちとして、その時に受けようかなとなるかも知れません。


長谷川

有難うございます。お願いします


岡部

私としては会社を成長し続けられる、そのベストな人材が自分であれば、そのままアシュリオンのケースのように30年位経営者をやれば良いと思います。ただもしサーチャーをやられている方が5年で区切って次に進みたいのであれば、当然、逆にこう考えたら良いのではないでしょうか。企業において社長がメチャメチャ、キーマンであり、5年で次に行きたいからぽっと居なくなったら、その事業はお終いになる、そうじゃなくて5年の中でエグジットするなら自分の後継者を、その会社は元々後継者が居なくて事業承継が出来なかった訳だから、自分が入った訳なので後継者を育てるか、外部から招聘するのが1つのゴールだとオーナーと話してご納得を頂くのも有りかなと思います。


長谷川

岡部さんのご意見、スゴイ良いですね。安定してちゃんと経営をできる後継者を作るんだというミッションが、こういったサーチャーの中には重要です。逆に私は未来永劫、経営を続ける人とは限らないと最初から言っておかないといけない。時間も来たので、最後にお一人ずつ、MBA生に向かってメッセージや言い残したことをお願いします。松本さんお願いします。


松本

皆さん、どんなアントレプレナーになりたいと思われていますか?私は業界を作り上げる起業家が一番格好いいと思っています。今サーチファンド業界は出来たばかりで、我々第1陣のサーチャーが業界を作っていると言い切れると思っております。この1-2年でサーチャーになる人はみな業界のファーストペンギンになれるのです。この会場でのこの機会をキッカケに、次のサーチャーになられる方とお会いしお話できることを楽しみにしています。


長谷川

有り難うございました。岡部さん、宜しくお願いします。


岡部

志という所も有りますし、皆さんの具体的行動をお勧めしたい。例えば、サーチファンド・アクセラレータ説明会、書籍、調べてみるとか、先程のクイックヒット、小さな成功、自分自身もそうだと思いますので、まずは志と共に小さな第一歩を興味のある方は是非取って頂いて、検討を頂いて、同じように働ければ有りがたいと思っています。


長谷川

有り難うございました。前川さん、宜しくお願いします。


前川

サーチャーを目指す方のみならず、ここにおそらく金融機関にお勤めの方もいらっしゃると思いますので、金融機関の方にも是非知って頂いて興味を持って頂きたいと思っております。FBグループでサーチファンド研究会を募集しているので是非リクエストをお願いします。些細な事でも質問頂ければと思いますので宜しくお願いします。


長谷川

有難うございました。これで終わりにします。


教室からのQ&A



学生

サーチャーへ:企業をどうやって探すのか?どのようにコンタクトをとるのか?自分の強みを活かせるところにするのか?

嶋津さんへ:事業承継での売り上げ目安はあるのか? 

 

松本

JSFPは野村HDのサポートあり、全国証券の営業マンから事業承継ニーズの案件の紹介がある。検討している案件の9割以上がご紹介案件。強みは営業マン・お客様の関係が親密であること。野村の紹介なら聞いてあげようとなっている。強みとなっている。

 

 嶋津

野村HDはLPとしてサポートに入っている、他には大同生命・地域金融機関もある。まもなく追加になるところもある。野村以外も使える。PFにはそれぞれ特徴がある。YMFG・山口キャピタル地域は地銀の紹介、サーチファンドジャパン、M&Aセンターからの紹介もある。地銀の紹介というのは借り入れがある先となる、状態が悪い会社は関係性が濃い。無借金優良企業だと預金口座しかないので関係性が薄い。

証券会社にいるお客様は余剰資金を運用している人、M&Aセンターのお客様は売却意思がはっきりしている会社、売る気があるので取り合いになっている。競争になっている。

地銀系・JSFPの仕組みは、売る意思が固まり切っていないところに通う。紹介をもらう。紹介される案件の特性・硬さが異なる。


長谷川

野村グループとして紹介しても案件にならない、断られることがある。全国の支店長が1件ずつ紹介しても外れる案件がある。悩ましい部分はあるか?


妹尾

野村証券全国に支店あり、紹介したいと言われる。目指している姿は目先の1件・2件ではない、なぜ野村がこの取り組みをやるのか・意義があるのか、志に共感していただく。サーチャーを紹介してほしい。これからさらにサーチャーを探す。PF1号なので立ち上げに協力してほしい。成功したら第2号が出来る。推進者が熱い熱量とコミットメントを伝える。営業マンがお互い不満が溜まらないようにきめ細やかな対応が大事である。


岡部

 野村の勉強会では、国のGDPの話から始める。働く人がどのくらい減るか→1.7倍GDPを増やさなければならない。そこに対する危機意思を現場の人が持っている。サーチャーの役割は会社を伸ばすこと。使命感を持って野村の人が持っているのがさすがだと思った。


長谷川

恵まれている環境である。お金・給料・お客様を紹介してもらえる。時代の差を感じる。野村(LPE)からきた案件も断ってよい。そこをちゃんとしないと、LPEのいうことを聞かないとなると本末転倒。お客様である企業の企業価値があげられるか、情熱をもって入り込めるかどうかを純粋に判断する。最後にこの仕組みのことを考える。つじつまが合わなくなる。企業価値が上げられるところを支援する、という条件を譲るとパフォーマンスが下がるだろう。

嶋津

数100件から二人が選んでいる。忖度は全くない。

学生

サーチャー:0→1のスモールM&Aもあるのに、雇われる魅力は何か?


岡部

会社の規模が小さい=オペレーションを自分で回す。それも大事。売り上げ10~20億だと分業で従業員が行っている=それのレベルアップが必要。経営者という観点ではやることが違う。より組織としてマネジメントのシステムとして昇華させたい。だからサーチファンドを選んでいる。

学生

会社の規模・収益性・相性など、優先順位など決めて会っているのか?


前川

ターゲットはイメージしている。海外経験を活かしたビジネスを希望。海外に行ったときに強いコンテンツを持っている企業、自動化によって生産性があがる製造業をイメージとして持っている。サーチファンドで活動し出会ったニッチ産業を徹底的に調べる。寡占しているより分散している会社、一社に依存していない会社、安定した収入がはいる会社は向いている。

学生

あえてサーチファンドに出すのは信頼できる人にお願いしたいという思いが強い。あなただから信頼している、だから売ったが多いのでは?

MBA卒業後1年、サーチャーが出来るのか?人に教えられるのか?

マインド・取り組みの方法・工夫は?


嶋津

社長が高齢化して投資を止めてしまっているところから、人が変わると雰囲気が変わる。サーチャーが四苦八苦しているのを見ている・一緒にやる=サーチャーがやっていることが会社の中に浸透していく。経営を組織化・マニュアル化をしていくことで経営しやすくする。会社を成長&次世代につなげることはイコールでは?

学生

サーチャーにふさわしい人は大企業の人・中小で経営をしていた人がよい?

どのような人材層がサーチャーにふさわしいと思うか?


前川

大企業から中小企業は活躍出来る。ホワイトボードがない、議事録がないなど、大企業では普通だが中小にはない。活躍の場は十分にある。


嶋津

個人の性質が重要。経験に縛られすぎない。中小経験があったほうが、ギャップは生まれない。大企業いながら新しいことに前向き、中小企業でも学ぼうというアントレプレナーなら問題にならない。


長谷川

大企業にいても自分自身でチャレンジする場を作るべき。小さいユニットを若いうちからプロモートする。責任者になる。ある一定程度の成果まで出していく、アントレプレナーシップのチャンスを拾わなければならない、手を動かす足を動かす成果を出す。サーチャーになりたければ、小さくてよいから実績が必要。サーチャーになれない。何か実績がなければ、中小企業に行っても成功しない。頭で理解しても行動しなければ意味がない。今の職場でアントレをやるべきである。サーチャーがバラ色だとは限らない。今の組織でチャレンジングなことをすべき。もっとできないかと。

学生

MBA卒業後すぐにサーチャーになれるのか?MBAの意味があるのか?MBAは次に博士課程があるけど、サーチャーの差はあるのか?


嶋津

MBAはきっかけを得る場である。知ると知らないでは差があるけど、やったことがあるか、やるかどうかが重要。経営は経営をやらなければ分からない。早めにトライすべきbut、工場オペから経営になるはきつい。ある程度成功できる感覚が持てるか、MBAできっかけをたくさん掴む、前の経験とMBAで何で変わるのか?1年・3年後は関係ない。博士課程については、勉強し続けても経営者になれない。思い切って飛ぶしかない。経営者をやりたいなら博士課程は長いのでは?


前川

MBAで基礎がわかってよかった、ネットワークが自信になっている。


長谷川

博士課程は経営者になるためではおすすめしない。MBAで学んだ経営者は必要。法則・方向性は学べるが、失敗を知ることが非常に重要だがなかなか座学では学べない。行動、実践して初めて学べることも多くある。

学生

嶋津さんと前川さんへ、マッチング後にうまくいかないことはあるのか?サーチャーされる従業員はあまり面白く思わないのでは?マッチング後にうまくいかなかった事例はあったのか?


嶋津

アメリカの事例:改革しすぎると従業員がついていけない。

日本の場合:婿養子制度がある。社長が認めた誰かを従業員が受け入れる。オーナーが認めた人にオーナーが任せる。海外は中小企業のデューデリエンスが難しい。オーナーと腹を割って話す。フェラーズノート(分割払い)ストラクチャーで解決を目指す。


長谷川

実績を積み上げることが重要。保証の問題、ファンドとして買い取る仕組みがあったほうがよい。リスク・リターンを明確にすべき。よくない制度は直す。


記録:長谷川ゼミ



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